ミャンマーMTO2の最新動向 申告納税方式の導入など

ミャンマーMTO2の最新動向 申告納税方式の導入など


概要

ミャンマーの中規模納税者税務署(MTO)は、1から3まで分かれている。MTO2では2018年8月、納税者向けセミナーを開催し、申告納税方式について説明を行った。MTO2においては2019年度から申告納税制度の導入を予定している。今後、同制度が浸透すれば、日本と同様に、納税者は自己責任の下に税務申告書を作成・提出し、税金を納付していくこととなる。

各所轄について

現在、ミャンマーにおいて税務署は大規模納税者税務署(Large Taxpayer Office:LTO)と中規模納税者税務署(Medium Taxpayer Office:MTO)に分かれており、大規模納税者や経済特区企業、メガグローバルカンパニーの支店などはLTO、その他はMTOが所轄している。MTOは1から3までにさらに分かれ、MTO1は、売り上げ規模などのやや大きめの企業、MTO2はMTO1に属さない外資系企業、MTO3はその他のローカル企業を担当することとなる。個人事業や小規模企業は、各タウンシップの税務署が所轄している。

2018年8月に行われたセミナーの内容ほか

1.セミナー概要

MTO2では、2018年8月に納税者向けセミナーを開催。税務署長や課長が申告納税方式について説明を行った。この制度は既にLTOやMTO1で先行して導入されており、MTO2においても2019年度からの導入を予定している。

これまで、ミャンマーにおいては課税に当たり、実質的な賦課課税方式が取られてきた。今後、申告納税制度が浸透すれば、日本と同様に、納税者は自己責任の下に税務申告書を作成・提出し、税金を納付していくこととなる。同時に、定期的な実地税務調査の制度も開始される予定である。申告した内容に関する帳簿や証憑についてはしっかりと保存し、税務署に説明を行う必要性が高まっている。

2.税務調査について

流れとしては、まず税務署から1回目の連絡があり、これについて10日以内に返答し、調査日時などを決定する。10日以内に返答を行わなかった場合、2回目のリマインドがあり、3日以内に返答を行わなかった場合は強制的な税務調査が行われる。税務調査の際、企業側は書類を調査する部屋を提供し、取締役と会計の責任者が立ち会って、まず、ビジネスの内容や使っている会計ソフト、その他に企業概要の説明を行う。調査期間は取引のボリュームによって異なる。

調査のポイントは(1)書類の不備(2)売り上げの隠蔽(いんぺい)(3)不正な費用(4)源泉徴収の状況(5)キャピタルゲイン課税(6)印紙税(7)予納の状況(8)四半期申告の状況(9)納税者登録の状況(10)個人所得税(11)商業税(12)為替換算の計算など多岐にわたる。

税務調査により更正が行われる場合には双方が話し合い、不服がある場合には、不服申し立てを行うこととなる。更正により課された税額が多いため、一度に納付することが困難な場合には、分納の相談も可能である。税務署と協議の上、分納期間などを定めて延滞税と共に納付していくこととなる。

3.今後の動向について

MTO2の担当によると、これから四半期申告や毎月もしくは四半期の納付期限厳守について、しっかり見ていくという方針。これまで納付期限について、税務署や銀行の状況もあり、期限後納付となっているケースも散見されたが、きちんと期限を守っていくことが求められる。商業税の納税者登録や納付など、期限が守られているか、原本を確認してのチェックが行われる。また、源泉所得税などについても、毎月納付や四半期申告などの期限厳守の確認をしっかり行っていきたいところである。
当局では各税務署の担当官も増員し、税務署によってはこれまで1人当たり300社見ていたケースが同80社程度になるなど、迅速化を目指している。

まとめ

これまでは、納税者の作成する決算報告書を尊重せず、当局の内規的な基準に従って税額が賦課決定されるなど、透明度の低い徴税がなされることが頻発していた。申告納税方式の発展とともに、納税者・当局双方が納得できる、予測可能性の高い徴税制度の確立を期待したいところである。ミャンマーの発展において、当該制度の安定は必須といえよう。

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